令和5年(2023年)マンション管理士試験の過去問


正しい肢だけを眺めるも良し、誤りの出題パターンを掴むも良し、隙間の時間やテレビを見ながら軽く読み流してください。ちょっとした時間に、なるべく頭を使わずサラッと眺めることができる、答えがすぐに分かる2023年のマンション管理士試験過去問です。


次の注意事項をよく読んでから、始めてください。(本番例)

1 これは試験問題です。問題は、1ページから30ページまでの50問です。
2 試験開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。 もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。 また、法律等の略称及び用語の定義について、裏面の記載を確認してください。
3 答は、別の解答用紙に記入してください。 解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
4 答は、各問題とも1つだけです。 2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
5 問題中法令等に関する部分は、令和5年4月1日現在施行中の規定に基づいて 出題されています。

問題の中で使用している主な法律等の略称及び用語の定義については、以下のとおりとします。

・「区分所有法」…建物の区分所有等に関する法律 (昭和37年法律第69号)
・「マンション管理適正化法」…マンションの管理の適正化の推進に関する法律 (平成12年法律第149号)
・「標準管理規約」…マンション標準管理規約(単棟型)及び マンション標準管理規約(単棟型)
・「マンション」…「マンション管理適正化法第2条第1号イに 規定するマンション」をいう。
・「管理組合」…「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」 をいう。




〔問 1〕 次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

× 専有部分は、規約により共用部分とすることができるが、附属の建物は、規約により共用部分とすることはできない。
〇 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用する土地は、規約により建物の敷地とすることができる。
〇 区分所有者の数人で建物の敷地を所有する場合には、その所有権は「敷地利用権」である。
〇 専有部分に属しない建物の附属物は、「共用部分」である。



〔問 2〕 管理組合、団地管理組合及び管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治 29 年法律第 89 号)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

〇 法定共用部分を専有部分とする場合には、これについて、その共有者全員の同意が必要である。
× 管理組合及び団地管理組合においては、その職務に関し、管理者が区分所有者を代理し、管理組合法人においては、その事務に関し、代表権のある理事が 共同して区分所有者を代理する。
× 管理組合及び団地管理組合の管理者を共用部分の管理所有者とする規約を定めることができるが、管理組合法人の理事を共用部分の管理所有者とする規約 を定めることはできない。
× 共同利益背反行為に該当する行為により当該義務違反者に対して区分所有権の競売請求に係る訴訟を提起するため、管理組合及び団地管理組合の管理者、並びに管理組合法人の代表権のある理事を訴訟担当者として選任することは、 それぞれの集会で決議することができる。



〔問 3〕 共用部分等の管理及び変更に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。ただし、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすことはないものとする。

〇 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。) は、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の決議で決するが、区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
〇 共用部分の管理に関する事項は、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)の場合を除いて、集会における区分所有者及び議決権の各過半数の決議で決するが、規約において、集会出席者の過半数で決すると定めることもできる。
〇 共用部分以外の附属施設で区分所有者の共有に属するもの(これに関する権利を含む。)の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。) は、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の決議で決するが、区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
〇 区分所有者の共有に属する建物の敷地(これに関する権利を含む。)の各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、建物の敷地の負担に任じ、建物の敷地から生ずる利益を収取する。



〔問 4〕 次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、規約に別段の定めとして規定することができないものはどれか。

〇 集会の議長について、管理者及び集会を招集した区分所有者以外の者を選任すること。
〇 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合に、区分所有者が、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分す ること。
× 管理所有者が、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を行うこと。
〇 区分所有者全員の利害に関係しない一部共用部分を、区分所有者全員の管理にすること。



〔問 5〕 AとBはいずれも甲マンションの区分所有者である。Aが、塔屋及び外壁(いずれも共用部分である。)と自ら所有する専有部分とをあわせて第三者に賃貸して賃料を得ている場合において、Bが、Aに対して、塔屋及び外壁のうち、自らの 持分割合に相当する部分について不当利得の返還請求権を行使できるかどうか等に関する次の記述のうち、判例によれば、誤っているものはどれか。なお、甲マンションの規約には、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあるものとする。

〇 区分所有者全員の共有に属する共用部分を第三者に賃貸することは、共用部分の管理に関する事項に当たる。
〇 一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権は、各区分所有者に帰属する。
× 区分所有者の団体は、区分所有者の団体のみが各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を行使することができる旨を集会で決議することはできない。
〇 甲マンションの規約の定めは、区分所有者の団体のみが各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を行使することができる旨を含むものと解することができる。



〔問 6〕 集会に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
〇 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。
〇 集会の議事に係る区分所有者の議決権は、書面で、又は代理人によって行使することができる。
× 集会の招集の通知をする場合において、会議の目的たる事項が、管理者の選任であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
〇 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、集会において議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。



〔問 7〕 甲マンションにおいて、区分所有者Aが所有する 101 号室をBに賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び借地借家法(平成3年法律第 90 号)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。ただし、甲マンションの規約においては、専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならないとされている他には、別段の定めはないものとする。

〇 Aは賃貸業を営む事業者で、101 号室には居住せずに、Bに同室を居住用として賃貸して賃料収入を得る営業行為を行っていたとしても、Aの行為は、甲マンションの用途違反には該当しない。
× 甲マンションの管理組合で建替え決議がなされたため、AB間の賃貸借契約が期間満了するに際して、AがBに対して更新を拒絶した場合、Bは建替え決議遵守義務があるので、借地借家法による正当事由の有無を判断することなくAB間の賃貸借は終了する。
〇 AB間の賃貸借契約に基づいて管理費等の支払義務はBにある旨を、あらかじめAから甲マンションの管理組合に届け出てBの銀行口座から自動的に引き落とされていた場合であっても、甲マンションの管理組合は、Aに対して滞納されている管理費等の請求をすることができる。
× 甲マンション管理組合の集会を開催する場合、会議の目的たる事項についてBが利害関係を有しない場合であっても、Bのために、甲マンションの管理組合は、甲マンションの見やすい場所に、その集会の招集通知を掲示しなければならない。



〔問 8〕 甲マンション 101 号室はAが所有し、同室に隣接する 102 号室はBが所有して居住しているところ、101 号室の室内には段ボール、空ペットボトル、ビニール袋に詰めたゴミなどがため込まれてこれらが積み上がった状況となり、悪臭などによってBを含むマンションの居住者に著しい迷惑が及んでいる。この状況のもとで、甲マンションの管理者又はBが講ずることができる措置に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

〇 甲マンションの管理者は、管理規約に訴訟の提起についての定めがあったとしても、集会の決議がなければ、Aに対して、101号室の室内のゴミなどの除 去を求める訴えを提起することはできない。
× 甲マンションの管理者は、Aの所在を知ることができない場合には、裁判所に対して、101 号室の専有部分と共用部分の共有持分を対象として、所有者不明建物管理人による管理を命ずる処分を求めることができる。
〇 Bは、Aによる 101 号室の管理が不適当であることによって自らの健康を害して通院、治療が必要となった場合には、Aに対して損害賠償を請求することができる。
〇 Bは、Aによる 101 号室の管理が不適当であることによって自らの権利が害されている場合であっても、裁判所に対して、101 号室の専有部分と共用部分の共有持分を対象として、管理不全建物管理人による管理を命ずる処分を求めることはできない。



〔問 9〕 甲マンションの集会においてマンションの建替え決議が成立した。Eは建替え決議に賛成した区分所有者であり、A、B、C及びDはいずれも建替え決議に賛成しなかった区分所有者である。決議後、集会招集者が建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対して建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告した場合の取扱いに関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

× Aが催告を受けた日から2月以内に回答しなかった場合には、Aは、建替えに参加する旨を回答したものとみなされる。
× Bが催告を受けた日から2月以内に建替えに参加する旨を回答した場合であっても、EはBに対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
〇 Cが建替えに参加しない旨を回答し、EがCに区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求した場合において、EはCに対して建物の移転登記手続の履行を求めるためには、売買代金を提供しなければならない。
× Dが建替えに参加しない旨を回答し、EがDに区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求した場合において、Dが建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、代金の支払又は提供の日から1年を超えない範囲内において、Eに対する移転登記手続をする義務について相当の期限を許与することができる。



〔問 10〕 団地内に専有部分のある建物であるA棟及びB棟があり、団地の敷地は団地建物所有者の共有に属し、その共有者全員で構成する団地管理組合において、規約が定められている。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

× A棟及びB棟が所在する土地は、当然にA棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合における団地共用部分となる。
〇 A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合がA棟及びB棟の管理を行うものとする場合において、A棟の管理とB棟の管理について、規約で異なる内容を定めることができる。
〇 団地内建物の一括建替え決議を行おうとする場合、団地建物所有者の集会において、団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成を得るとともに、A棟及びB棟ごとに区分所有者の3分の2以上の者であって議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものが賛成することが必要である。
〇 団地内建物の一括建替え決議を行おうとする場合、再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項についても、議案として決議しなければならない。



〔問 11〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより区分所有建物の全部が滅失した場合において、区分所有建物の敷地利用権を有する者(この問いにおいて「敷地共有者等」という。)が開く集会で建物を建築する旨の決議(この問いにおいて「再建決議」という。)を行った場合、建物を再建することに関する次の記述のうち、被災マンション法の規定によれば、誤っているものはどれか。な お、区分所有建物に係る敷地利用権は数人で有する所有権その他の権利であったものとする。

〇 敷地共有者等が開く集会においては、敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数によって、再建決議をすることができる。
〇 敷地共有者等が開く集会においては、区分所有建物の全部が滅失した後に区分所有建物の敷地利用権を第三者に譲渡した敷地共有者等は、再建決議における議決権を有しない。
〇 敷地共有者等が開く集会においては、滅失した区分所有建物の敷地の一部を含み、かつ滅失した区分所有建物の敷地ではない土地を含む土地上に、新たに建物を建築する旨の再建決議をすることができる。
× 滅失した区分所有建物の敷地利用権に設定されていた抵当権は、再建決議がなされて建物が再建された場合には消滅する。



〔問 12〕 Aは、甲マンションの 508 号室を所有しているが、同室及び同室内の壁に飾ってあった風景画(この問いにおいて「絵画」という。)をBに賃貸した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

× Bが死亡し、その後Bを単独で相続した子Cが、絵画をBの所有物であり相続財産に属するものであると過失なく信じて、現実に占有していたときは、Cは、即時取得により所有権を取得するため、AがCに絵画の返還を請求しても認められない。
× Bが自らの所有物であると称してDに絵画を売却し、Dは、Bの所有物であると過失なく信じていた場合において、Bが絵画を以後Dのために占有する意思を表示してその現実の占有を継続したときは、Dは、即時取得により所有権を取得するため、AがDに絵画の返還を請求しても認められない。
× Bが自らの所有物であると称してDに絵画を売却した場合において、絵画の引渡しを受けた当時、Bの所有物であると過失なく信じていたことをD自身で立証しない限り、Dは、即時取得により所有権を取得しないため、AがDに絵画の返還を請求すれば認められる。
〇 無職のEがBが不在の間に 508 号室に侵入して絵画を盗み、Fに売却したところ、FがEの所有物であると過失なく信じていた場合において、絵画の占有が現実にEからFに移転されたときであっても、Aは、盗難の時から2年以内にFに絵画の返還を請求すれば認められる。



〔問 13〕 甲マンション 301 号室を所有するAは、その債権者Bを害することを知りつつ、301 号室をCに贈与し、その旨の所有権移転登記がされた。Bが、Aのした贈与について、Cに対して詐害行為取消請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

× Bによる詐害行為取消請求に係る訴えは、AがBを害することを知って行為をした時から2年を経過したときは提起することができない。
〇 BのAに対する債権がAのCに対する贈与の前の原因に基づいて生じたものではない場合には、Bは詐害行為取消請求をすることができない。
× 甲マンション 301 号室の時価が 900 万円、BのAに対する債権が 400 万円である場合には、Bは、400 万円の限度においてのみ、Aのした贈与の取消しを請求することができる。
× Bは、Cに対する詐害行為取消請求において、Aのした贈与の取消しとともに、直接自己に甲マンション 301 号室の所有権移転登記をするよう請求することができる。



〔問 14〕 Aが所有し、居住する甲マンションの 101 号室をBに 3,000 万円で売り渡す旨の契約を締結し、Bから手付金として 300 万円を受領した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、AB間の売買契約には、手付に関する特約はないものとする。

〇 Aは、Bが履行の着手をする前に、Bに 600 万円を現実に提供すれば、Bがこれを受領しなくとも売買契約の解除をすることができる。
〇 Bは、B自身が履行の着手をしても、Aが履行の着手をしなければ、手付金 300万円を放棄して売買契約の解除をすることができる。
× Aは、Bの債務不履行により売買契約を解除したときは、Bに手付金 300 万円を返還することなく、Bの債務不履行により生じた損害全額の賠償を請求することができる。
〇 Aが履行の着手をする前に、Bが手付金 300 万円を放棄して売買契約の解除をしたときは、Aは、売買契約の解除によって 300 万円を超える損害が生じても、Bに対して損害賠償の請求はできない。



〔問 15〕 甲マンション 202 号室を所有しているAは、友人であるBとの間で、同室を無償で貸す旨の使用貸借契約を締結し、Bに引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

× 使用貸借契約が書面でされていない場合には、Aは、書面によらない使用貸借であることを理由に、使用貸借契約を解除することができる。
× 災害によって 202 号室が損傷した場合には、Bは、Aに対し、その修繕を請求することができる。
× 使用貸借契約の締結後にBが死亡した場合には、使用貸借契約に基づく借主の地位はBの相続人に相続され、Bの相続人が 202 号室を無償で使用することができる。
〇 使用貸借契約において、使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、Aは、いつでも使用貸借契約を解除することができる。



〔問 16〕 Aは、甲マンションの 202 号室を所有して居住しているが外国出張で不在にしており、Bは、その隣室である 203 号室を所有して居住しており在室していた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、各記述におけるBの行為は、Aの意思や利益に明らかに反しないことを前提とする。

〇 台風による強風で飛来物が衝突し 202 号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、その修理作業は、最もAの利益に適合する方法によって行わなければならない。
× 台風による強風で飛来物が衝突し 202 号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、その修理費用は、Bが負担しなければならない。
〇 台風による強風で飛来物が衝突し 202 号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、そのことをAが知らない場合には遅滞なくAに通知しなければならない。
〇 202 号室の室内で火災が発生していたため、Bがやむを得ずベランダから進入し、202 号室の窓ガラスを割って室内に入り消火作業をした場合には、BはAに窓ガラスの修理費用を支払う必要はない。



〔問 17〕 甲マンションの 501 号室に居住するAは、令和2年5月1日午後1時、同室のベランダに干していた布団を誤って屋外に落としてしまい、Bが所有し運転していた自転車に落下した布団が当たり、同自転車が転倒し破損するとともに、転倒したBが負傷した。 その後、Bには後遺症が残ったものの、Bの治療が令和2年7月 31 日に終了し、同日に症状固定の診断を受けた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、BはAが布団を誤って屋外に落とし たことを事故当日に知っており、時効の更新事由あるいは完成猶予事由はないものとする。

〇 BのAに対する人身傷害に係る損害賠償請求権は、令和7年7月 31 日の経過時に時効により消滅する。
× BのAに対する自転車損傷に係る損害賠償請求権は、令和7年5月1日の経過時に時効により消滅する。
× BのAに対する人身傷害に係る損害賠償請求権は、令和7年5月1日の経過時に時効により消滅する。
× BのAに対する自転車損傷に係る損害賠償請求権は、令和5年7月 31 日の経過時に時効により消滅する。



〔問 18〕 滞納となっている管理費の回収のため、管理者が、区分所有法第7条の先取特権(この問いにおいて「先取特権」という。)に基づき滞納者が所有する敷地権付き区分建物を目的とする担保不動産競売の申立てをする場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民法、民事執行法(昭和 54 年法律第4号)及び不動産登記法(平成 16 年法律第 123 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

〇 敷地権付き区分建物の登記記録の乙区に第一順位の抵当権が登記されている場合、先取特権は優先順位において抵当権に劣後する。
× 敷地権付き区分建物の当該建物のみを目的とする先取特権の登記を申請することができる。
〇 敷地権付き区分建物の登記記録の乙区にあらかじめ先取特権の登記がなされていなくても、担保不動産競売の申立てをすることができる。
〇 滞納者が死亡し、敷地権付き区分建物につき相続を原因とする所有権移転登記がなされていない場合、管理者が相続人に代位して当該登記を申請することができる。



〔問 19〕 マンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成 14 年法律第 78 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

〇 建替え合意者は、5人以上共同して、定款及び事業計画を定め、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。)の認可を受けてマンション建替組合を設立することができる。
〇 マンション建替組合において、施行マンション(マンション建替事業を施行する現に存するマンションをいう。以下同じ。)の建替え合意者はすべて組合員となり、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。
× 権利変換計画の変更は、組合員の議決権及び持分割合の各過半数で決することができる。
〇 組合設立に係る認可の公告があったときは、施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者は、その公告があった日から 30 日以内に、施行者に対し、権利の変換を希望せず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ることができる。



〔問 20〕 地区計画に関する次の記述のうち、都市計画法(昭和 43 年法律第100 号)の規定によれば、正しいものはどれか。

× 地区計画については、地区計画の種類、名称、位置及び区域のほか、区域の整備、開発及び保全に関する方針を都市計画に定めなければならない。
× 地区計画は、市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域には定めることができない。
× 地区整備計画においては、建築物等の用途の制限、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限等について定めることができるが、建築物の緑化率の最低限度については定めることができない。
〇 地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更や建築物の建築等を行おうとする者は、原則として、当該行為に着手する日の 30日前までに、市町村長に届け出なければならない。



〔問 21〕 建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

〇 各階の床面積がそれぞれ 300 ㎡の3階建ての共同住宅について、その1階部分の用途を事務所に変更しようとする場合は、建築確認を受ける必要はない。
× 床面積の合計が 300㎡である共同住宅について、大規模の修繕をしようとする場合は、建築確認を受ける必要はない。
〇 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、建築基準法の規定に違反した共同住宅の所有者等に対して、当該者からの意見書の提出等の手続によらないで、仮に、当該共同住宅の使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
〇 共同住宅の屋外に設ける避難階段に屋内から通ずる出口に設ける戸の施錠装置は、屋内からかぎを用いることなく解錠できるものとし、かつ、当該戸の近くの見やすい場所にその解錠方法を表示しなければならない。



〔問 22〕 簡易専用水道に関する次の記述のうち、水道法(昭和 32 年法律第 177号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

〇 簡易専用水道の設置者が、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けない場合、罰金に処せられる。
× 簡易専用水道の設置者は、定期及び臨時の水質検査を行ったときは、これに関する記録を作成し、水質検査を行った日から起算して5年間保管しなければならない。
〇 都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者からその管理について必要な報告を徴することができる。
〇 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質について、臭気、味、色、濁り及び残留塩素に関する検査を受けなければならない。



〔問 23〕 高さ 31 m を超えるマンション(この問いにおいて「高層マンション」という。)における防炎対象物品の防炎性能に関する次の記述のうち、消防法(昭和23年法律第186号)の規定によれば、誤っているものはどれか。

〇 高層マンションで使用するカーテンは、高さ 31 m 以下の階の住戸であっても、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
× 高層マンションの屋上部分に施工する人工芝は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものである必要はない。
〇 高層マンションで使用する防炎性能を有するカーテンには、総務省令で定めるところにより、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものである旨の表示を付することができる。
〇 高層マンションの管理者、所有者又は占有者は、当該高層マンションで使用するため、防炎性能を有しないカーテンを購入し、これを業者等に委託して政令で定める基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。



〔問 24〕「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(最終改正 平成18年4月20日 国住生第19号)によれば、新築住宅建設に係る設計指針に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

〇 管理人室は、共用玄関、共用メールコーナー(宅配ボックスを含む。)及びエレベーターホールを見通せる構造とし、又はこれに近接した位置に配置する。
× 通路(道路に準ずるものを除く。以下同じ。)は、周辺環境、夜間等の時間帯による利用状況及び管理体制等を踏まえて、道路等、共用玄関、屋外駐車場等を結ぶ特定の通路に動線が集中しないように配置することが望ましい。
〇 エレベーターのかご及び昇降路の出入口の扉に、エレベーターホールからかご内を見通せる構造の窓を設置しても、エレベーターのかご内には、防犯カメラを設置する必要がある。
〇 集会所等の共同施設は、周囲からの見通しが確保されたものとするとともに、その利用機会が増えるよう、設計、管理体制等を工夫する。



〔問 25〕 マンションの修繕や改良工事に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

〇 区分所有者は、専有部分の排水管(枝管)の取替え工事を行おうとするときに、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出して書面による承認を得た場合には、承認の範囲内で、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
× 台風により窓ガラスが割れたため専有部分に雨が吹き込んでいる場合であっても、当該専有部分の区分所有者は、事前に理事長に申請して書面による承認を受けたうえで、窓ガラスの張替え工事を実施する必要がある。
× 専有部分に設置されている窓ガラスは、当該専有部分の区分所有者が専用使用権を有しているため、経年劣化した窓ガラスの交換工事は、当該区分所有者の負担において行うことになり、管理組合の負担において行うことはない。
× 区分所有者が、断熱性向上のために窓枠と窓ガラスの交換工事を行う場合、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受ければ、工事を実施することができ、その費用については、管理組合に対して請求することができる。



〔問 26〕 専有部分の占有者や同居人等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはいくつあるか。

× 管理費等を上乗せして家賃を支払っている賃借人は、大幅な修繕積立金値上げを議題とする場合には、利害関係人として総会に出席し意見を述べることができる。
〇 区分所有者は、同居している姪を代理人として議決権を行使させることができる。
〇 長期海外勤務の区分所有者から住戸の売却の媒介依頼を受けた宅地建物取引業者は、管理組合の帳簿の閲覧を請求することができる。
〇 区分所有者と同居している親族が規約違反行為の是正の対象者になっている場合には、当該親族は、規約や総会決議の議事録の閲覧を請求することができる。



〔問 27〕 管理組合が実施する災害への備えのための活動に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

〇 管理組合は、近隣の自治会とも連携して地域住民と一体的に行われる防災訓練の費用について、マンション住民の避難訓練に相当する分を、管理費から拠出することができる。
〇 管理組合は、組合員名簿とは別に、災害発生時に特別な支援を要する者に係る名簿を備えることとし、該当する組合員や居住者に当該名簿への記載の協力を求めることができる。
〇 災害発生時に共用部分や他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるとして、理事長が緊急に専有部分や専用使用部分に立ち入るため、管理組合が各住戸の合い伴を預かっておくことを定めることもできる。
× 組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の多数による決議で管理規約を改正することにより、災害が発生して総会が開催できない場合には、全員の承諾を要せずに書面決議をすることができる。



〔問 28〕 管理組合が、外部専門家を理事長に選任しようとする場合の手続きに関する次の記述のうち、標準管理規約及び外部専門家の活用ガイドライン(国土交通省 平成29年6月公表)によれば、適切でないものはどれか。ただし、当該管理組合の管理規約には、標準管理規約に沿って外部専門家を役員として選任できる旨が規定されているものとする。

〇 外部専門家の選任方法については、細則に委任されているので、あらかじめ細則等において、役職も含めて総会で決議する等の特別の手続きを定めておくことが望ましい。
〇 マンション管理士の登録の取消し又はマンション管理に関する分野に係る資格についてこれと同様の処分を受けた者は、役員になることはできないことを細則で定めることができる。
〇 外部専門家を理事長とするためには、管理組合の内部での手続きとあわせ、管理組合と外部専門家との間で、理事長業務の委託契約を締結する必要がある。
× 外部専門家の導入のための総会決議において、選任方法について細則を定める場合には、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の多数による決議が必要となる。



〔問 29〕 管理組合の役員及び理事会に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

× 区分所有者が、管理組合を原告とする滞納管理費等請求訴訟において被告となっていることは、役員の欠格事由に当たる。
× 監事は、業務監査及び会計監査の権限を有しており、業務の執行又は財産の状況を理事に報告するために、いつでも、自ら理事会の招集をすることができる。
× 大規模修繕工事の内容の検討のために建物診断を業者に依頼する場合、管理組合の理事会は、総会の決議を経ずに、理事会のみの判断で、建物診断の発注をすることができる。
〇 マンション管理士が外部専門家として理事に就任している管理組合において、当該組合が当該管理士との間で長期修繕計画作成のための契約を締結する場合には、当該管理士は理事会の承認を得なければならない。



〔問 30〕 管理組合が、集会所における集会と WEB 会議システムを併用して総会を行おうとする場合の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

× WEB 会議システムにより出席する組合員の議決権行使の取扱いを、あらかじめ管理規約に定めておく必要がある。
× 理事長は、前会計年度における管理組合の業務の執行に関し報告をして各組 合員からの質疑への応答等に適切に対応する必要があることから、集会所における集会に出席しなければならない。
〇 いずれの方法によっても総会に出席できない組合員は、その配偶者が集会所における集会に出席できる場合であっても、WEB 会議システムにより出席を予定している他の組合員を代理人として議決権を行使することができる。
× 理事長は、WEB 会議システムにより出席することを予定している組合員に個別の ID 及びパスワードを送付する必要があるため、緊急を要する場合であっても、少なくとも会議を開く日の2週間前までに招集通知を発しなければならない。



〔問 31〕 総会において議長が議決権行使を有効と判断した取扱いに関する次の記述のうち、民法の規定及び標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。ただし、当該管理組合の管理規約では、外部専門家を役員として選任できない旨が規定されているものとする。

〇 総会の招集通知に添付してある一連の出席票・委任状・議決権行使書において、出席とした上で、余白に「万一欠席した場合は、議長に一任する」という手書きの文章が追加されて返信され、総会当日は欠席であったので議長が代理人として議決権を行使した。
〇 自分のパソコンで「全ての議案に反対する」と部屋番号と氏名を記載した議決権行使書を作成し印刷されたものが提出された。
× 外国居住の区分所有者に住戸購入を媒介した日本の不動産業者が、自らを受任者とする委任状に記名押印して管理組合に郵送してきた。
〇 議決権行使書に、「議案に賛成する」の箇所を〇で囲んでいたが、署名のみで住戸番号の記載がなかった。



〔問 32〕 管理組合において、次のことを行うために管理規約の改正が必要なものはどれか。ただし、現行の管理規約は、標準管理規約と同様であるものとする。

× 総会提出議案の役員候補として立候補しようとする組合員は、理事会決議で決められた所定の期間内に届け出なければならないとすること。
× 理事の立候補の届出がない場合に、輪番制で理事の候補者を選任するとすること。
〇 総会の議長は、出席組合員の中から選任するとすること。
× 役員選任は、役員全員を一括で選任する一括審議ではなく、それぞれの役員について個別に選任する個別信任方式とすること。



〔問 33〕 団地管理組合の運営に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(団地型)及びマンション標準管理規約(団地型)コメント(最終改正 令和3年6月22日 国住マ第 33 号)によれば、適切なものはどれか。

× 駐車場使用料は、駐車場の管理に要する費用に充てるほか、各棟の区分所有者の数に応じて、棟ごとに各棟修繕積立金として積み立てる。
× 各棟修繕積立金は各棟の共用部分の特別の管理のために徴収されているため、滞納となっている管理費等の請求に関し、訴訟その他の法的措置を講ずるときは、滞納が発生している棟の総会の決議が必要である。
〇 専ら団地内の特定の棟の区分所有者や占有者の通行の用に供されている敷地内の通路であっても、その修繕工事の実施は、団地総会において決議し、その費用は団地修繕積立金から支出する。
× 団地において大規模修繕工事を実施する場合、各棟修繕積立金は各棟で積み立て、区分経理していることから、各棟の工事の実施については、棟総会における決議が必要である。



〔問 34〕 甲マンション管理組合の令和4年度決算(令和4年4月1日~令和5年3月31日)に関して、会計担当理事が行った次の仕訳のうち、適切でないものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。

令和5年マンション管理士過去問




〔問 35〕 甲マンション管理組合の令和4年度決算(令和4年4月1日~令和5年3月31日)に当たり、令和5年3月 31 日現在の会計帳簿の現金預金の金額と銀行の預金残高証明書の金額に2万円の差異があった。この差異原因の説明に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。

× 令和5年4月分の管理費2万円が令和5年3月に銀行に入金されていたが、令和5年3月の仕訳で(貸方)管理費収入ではなく前受金で会計処理をしていたため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。
× 令和5年3月分のエレベーター保守料2万円を令和5年3月の仕訳で(貸方)未払金で会計処理していたが、3月分の2万円は銀行から自動引き落としされていたため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。
× 令和4年度分と令和5年度分の損害保険料4万円(年間2万円)を令和5年3月に支払ったが、令和5年3月の仕訳で令和5年度分の2万円は(借方)前払金として会計処理したため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。
〇 令和5年3月分の携帯電話基地局設置料収入2万円を令和5年3月の仕訳で(借方)未収金で会計処理していたが、令和5年3月末に銀行に入金されていたことが判明したため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。



〔問 36〕 長期修繕計画作成ガイドライン(令和3年9月国土交通省公表)の長期修繕計画の作成に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

〇 マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要である。
× 長期修繕計画の目的の一つに、将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、概算の費用等を明確にし、実施の時期を確定することがある。
〇 長期修繕計画の目的の一つに、計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にすることがある。
〇 長期修繕計画の目的の一つに、修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図ることがある。



〔問 37〕 長期修繕計画作成ガイドラインによれば、マンションの長期修繕計画の作成方法に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

〇 長期修繕計画の構成は、マンションの建物・設備の概要等、調査・診断の概要、長期修繕計画作成・修繕積立金の額の設定の考え方、長期修繕計画の内容、修繕積立金の額の設定の項目を基本とする。
〇 長期修繕計画の計画期間は、30 年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とする。
× 修繕工事を集約すると、直接仮設や共通仮設の設置費用が増加するなどの経済的なデメリットがある。
〇 推定修繕工事費は、長期修繕計画用に算出した概算の数量に、調査データや実績等を基に設定した単価を乗じて算定する。



〔問 38〕 マンションの大規模修繕工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

〇 工事中の煙や臭いの発生を少なくするため、溶融温度が低い防水工事用改質アスファルトを用いた。
× 工事による騒音が、室内において 40 dBA程度になると、不快感を訴える人が多くなる。
〇 モルタル塗り仕上げ部分に発生している幅が 1.0 mm を超えるひび割れで、ひび割れ幅の変動がある場合の補修は、Uカットシール材充填工法とし、充填材にシーリング材を用いるのが一般的である。
〇 外壁複合改修構工法(ピンネット工法)は、既存のタイルやモルタル等の仕上げ層を撤去せずに、アンカーピンによる仕上げ層の剝落防止と繊維ネットによる既存仕上げ層の一体化により安全性を確保する工法である。



〔問 39〕 マンションの建物の調査機器と調査方法に関する次の記述のうち、適切で ないものはどれか。

〇 電磁波レーダを用いて、鉄筋のかぶり厚さの調査を行った。
〇 クラックスケールを用いて、コンクリートのひび割れ幅の調査を行った。
× タッピングマシンを用いて、外壁タイルの浮きの調査を行った。
〇 針入度計を用いて、防水層の劣化度の調査を行った。



〔問 40〕 マンションの構造に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

〇 震度6強から震度7程度の地震がおきても、人命に危害を及ぼすような倒壊等を生じないことを目標として、建築基準法の耐震基準は定められている。
〇 壁と床を鉄筋コンクリートで一体的につくり、様々な荷重や外力に対応する壁式構造は、中層や低層のマンションに適している。
〇 多くのマンションで採用されている耐震構造は、建物の剛性を高めて地震力に抵抗する構造方式である。
× チューブ状の鋼管の中にコンクリートを詰めて、柱などの主要構造材としたものを鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC 造)といい、鉄筋コンクリート構造(RC 造)と同様に、鉄とコンクリートの特性を補い合う優れた性能を持つ。



〔問 41〕 マンションの防犯に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

× 屋内の共用廊下の照明設備は、床面においておおむね 50 ルクス以上の平均水平面照度を確保するものとする。
〇 屋外の共用階段について、住棟外部からの見通しが確保され、各住戸のバルコニーと近接している場合には当該バルコニーに侵入しにくい構造とする。
〇 敷地内の通路は、共用玄関や居室の窓から見通しが確保され、路面においておおむね3ルクス以上の平均水平面照度を確保できる照明設備を設けるものと する。
〇 共用玄関の照明設備は、その内側の床面においておおむね 50 ルクス以上、外側の床面においておおむね 20 ルクス以上の平均水平面照度をそれぞれ確保するものとする。



〔問 42〕 マンションの省エネに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

× 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)において住宅に適用される基準は、建築物エネルギー消費性能基準と住宅事業建築主基準の2つである。
〇 熱貫流率とは、熱伝導率と熱伝達率の2要素により決まり、値が大きい外壁は熱を通しやすく、値が小さい外壁は保温性が高いことを示す。
〇 夏場の省エネ対策では、日射をいかに防ぐかがポイントとなり、ブラインドやルーバーを用いて直射光が室内に入らないようにすることは有効である。
〇 外壁の仕様を熱伝導抵抗が高いものとしたり建具の気密性を高めることは、熱の出入りを低減し、断熱性能を高めるために有効である。



〔問 43〕 マンションの給水設備及び飲料用の受水槽に関する次の記述のうち、適切でないものの組み合わせはどれか。

〇 専有部分の給水管の給水圧力の上限値は、一般的に 300~400 kPaに設定する。
× さや管ヘッダー工法では、専有部分に設置する配管として、耐衝撃性及び強靭性に優れた水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管を使用する。
× 受水槽内に排水が逆流しないように、オーバーフロー管の下端と排水管との間に垂直距 100 mm の排水口空間を確保する。
〇 受水槽の点検用マンホール面は、受水槽上面より 10 cm 以上立ち上げる。



〔問 44〕 マンションの排水設備に関する次の記述のうち、適切なものの組み合わせはどれか。

× 結合通気管は、排水横枝管から分岐して立ち上げ、通気立て管に接続し、排水横枝管内の圧力を緩和するために用いる。
× 逆わんトラップは、わん部分を取り外し清掃が容易にできるため、台所流しの排水口に設置する。
〇 専有部分の浴室系統の排水横枝管の管径が 50 mm の場合、円滑に排水を行うために最小勾配は1/50 とする。
〇 排水立て管の清掃時に清掃ノズルを挿入する掃除口を、3~5階以内の間隔で設ける。



〔問 45〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

× ガス給湯器の能力表示には「号」が一般に用いられ、1号は流量1ℓ/min の水の温度を 20℃上昇させる能力をいう。
〇 換気設備において、換気による外気の熱負荷を軽減するため、第1種換気方式となる熱交換型換気扇を用いた。
× 特殊継手排水システムは、排水立て管と通気立て管を併設し、それらを接続することにより、排水管内の圧力を緩和する機能があるので、専有部分からの汚水系統や雑排水系統の排水を集約できる。
× 給水設備において、水道水の水質を確保するためには、給水栓における遊離残留塩素の濃度を、通常 0.05 mg/ℓ以上にしなければならない。



〔問 46〕 マンションの管理に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

〇 都道府県等は、マンション管理適正化指針に即し、管理組合の管理者等(管理者等が置かれていないときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等。)に対し、マンションの管理の適正化を図るために必要な助言及び指導をすることができる。
〇 マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならない。
〇 マンション管理計画の認定は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
〇 都道府県等は、マンション管理適正化推進計画の作成及び変更並びにマンション管理適正化推進計画に基づく措置の実施に関して特に必要があると認めるときは、関係地方公共団体、管理組合、マンション管理業者その他の関係者に対し、調査を実施するため必要な協力を求めることができる。



〔問 47〕「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」(令和3年9月28 日 国土交通省告示第 1286 号)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。

〇 防災・減災、防犯に加え、日常的なトラブルの防止などの観点からも、マンションにおけるコミュニティ形成は重要なものであり、管理組合においても、区分所有法に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが重要である。
〇 管理組合の自立的な運営は、マンションの区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものであるため、管理組合の運営は、情報の開示、運営の透明化等を通じ、開かれた民主的なものとする必要がある。
× 管理組合の管理者等は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要であり、この図書等について、マンション建設業者や宅地建物取引業者の求めに応じ、閲覧できるように配慮することが望ましい。
〇 管理組合の経済的基盤を確立するため、管理費及び修繕積立金等について必要な費用を徴収するとともに、管理規約に基づき、これらの費目を帳簿上も明確に区分して経理を行い、適正に管理する必要がある。



〔問 48〕 マンション管理適正化法第5条の4に基づく管理計画の認定基準に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

〇 監事が選任されていること。
〇 長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が 30 年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること。
× マンションの管理状況に係る書面の散逸、毀損防止のため、管理規約において、管理組合の管理に関する情報の保管等を電磁的方法によるものと定めていること。
〇 管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、1年に1回以上は内容の確認を行っていること。



〔問 49〕 マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法(この問いにおいて「法」という。)によれば、正しいものはいくつあるか。
× マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務について、複数の者に分割して委託する場合は、その全てを再委託することができる。
× マンション管理業者は、法第 77 条に定める管理事務報告を行うに際して、管理組合に管理者等が置かれていない場合は、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等に対し、管理事務に関する報告を記載した書面を交付すれば足りる。
〇 マンション管理業者は、管理受託契約を締結したとき、管理組合に管理者等が置かれている場合は、当該管理者等に対し、法第 73 条に定める契約成立時の書面を交付しなければならない。
× マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、管理組合の管理者等に交付するときは、管理業務主任者をして記名させなければならない。



〔問 50〕 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第 72 条の規定に基づく重要事項の説明等に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

× 管理業務主任者は、重要事項の説明を行うに当たり、説明の相手方から要求があった場合は、説明の相手方に対し管理業務主任者証を提示しなければならない。
〇 マンション管理業者は、管理受託契約を更新する場合において、従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とする場合、あらかじめ、重要事項の説明会を開催する必要はない。
× マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との契約を更新しようとするとき、当該管理組合の認定管理者等から重要事項について説明を要しない旨の意思の表明があったときは、当該認定管理者等に対して重要事項を記載した書面の交付を行えばよい。
× マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約に係る説明会の日の5日前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。


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令和3年のマン管試験